不動産の売却
相続した不動産を売却することは、遺産分割を円滑に進める換価分割の手段として、または納税資金の確保のために選択されることがあります。
しかし、相続不動産の売却は通常の不動産取引に加えて、譲渡所得税や特例適用期限など、相続特有の複雑な税務上の論点を含みます。
これらの注意点を理解し、適切な手続きを踏むことが不可欠です。
不動産売却で最も注意すべき税務上の論点
相続した不動産を売却して利益(譲渡所得)が発生した場合、その利益に対して譲渡所得税(所得税および住民税)が課税されます。
この譲渡所得の計算と適用税率には、相続特有の注意点があります。
1. 取得費の計算と所有期間の判定
取得費の明確化
譲渡所得は「売却価額-(取得費+譲渡費用)」で計算されます。
取得費とは、被相続人(故人)がその不動産を購入した際の費用(購入代金、手数料など)のことです。
相続不動産の場合、この取得費の資料(売買契約書など)が見つからないことが多くあります。
取得費不明の場合のリスク
取得費が不明な場合、売却価額の**5%**相当額しか取得費として認められません。
これにより、実際には利益が少なくても、税務上は大きな利益が出たことになり、課税額が不当に高くなるリスクがあります。
所有期間の判定
譲渡所得の税率は、不動産の所有期間によって異なります。
この所有期間は、相続人ではなく、被相続人(故人)がその不動産を取得した日から起算されます。
所有期間が5年を超えるか否かで税率が大きく変動します。
2. 特例活用のための期限の厳守
相続した不動産の売却には、税負担を大幅に軽減できる特例が存在しますが、これらは厳格な期限と要件が定められています。
3,000万円特別控除の特例
亡くなった方が住んでいた自宅(空き家)を売却する場合、「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」という期限内に売却すれば、譲渡所得から最大3,000万円が控除されます。
この期限を過ぎると、特例は適用できません。
特例の適用には確定申告が必須
たとえ特別控除を適用した結果、税額がゼロになったとしても、特例の適用を受けるためには確定申告が必須となります。
申告を怠ると、特例適用前の税額が課税されてしまいます。
売却に関する手続きを税理士に相談する理由
相続不動産の売却は、確定申告が必須となるなど、複雑な税務判断が伴います。
お客様が安心して手続きを進めるために、税理士の専門的なサポートをご活用ください。
1. 複雑な譲渡所得の計算と節税対策
譲渡所得の計算は複雑であり、特に建物の減価償却費を考慮に入れる必要があるため、専門知識が不可欠です。
税理士は、特例の適用可否や、複数の特例を併用した場合の計算を正確に行い、お客様の税負担を最小限に抑えるための適切なアドバイスを提供します。
2. 確定申告の確実な履行とペナルティの回避
会社員の方など、普段確定申告を行わない方も、不動産を売却した翌年には確定申告が必要です。
申告期限(売却した翌年の3月15日)に遅れたり、申告を怠ったりすると、無申告加算税や延滞税といったペナルティが発生します。
税理士に依頼することで、申告のミスや期限超過のリスクを確実に回避できます。
3. 相続全体を見据えたアドバイス
不動産の売却は、遺産分割、納税資金、譲渡所得税、そして将来の相続税にまで影響を及ぼします。
岡崎相続サポートセンターの税理士は、単に譲渡所得の申告を行うだけでなく、相続全体を見据えた上で、「いつ、誰の名義で売却するのが最も有利か」という戦略的なアドバイスを提供します。
相続不動産の売却をご検討の際は、まずは当センターの無料相談をご利用いただき、期限と税務上のリスクについてご相談ください。