相続税の土地評価とは
相続税を計算する際、現金や預貯金は額面通り評価されますが、土地はそうではありません。
土地の相続税評価額は、税法(財産評価基本通達)に定められた複雑な方式と、土地ごとの個別事情に基づいて算定されます。
この土地評価こそが、相続税額を最小化するための最も重要な鍵であり、税理士の専門性が大きく問われる領域です。
1. 土地評価の基本原則:「路線価方式」と「倍率方式」
土地の評価は、原則として以下のいずれかの方法で行われます。
路線価方式
主に市街地やその近郊の道路に適用されます。
国税庁が公表する、道路に面した標準的な宅地の1平方メートルあたりの価格(路線価)を基に評価します。
倍率方式
路線価が付されていない地域に適用されます。
その土地の固定資産税評価額に、地域ごとに定められた倍率を乗じて評価額を算定します。
2. 評価額を下げる「減額要因」の発見こそが専門家の役割
路線価や倍率は、標準的な整形地(形の整った土地)を前提としています。
しかし、実際にはすべての土地に何らかの利用価値を下げるマイナス要因が存在します。
税理士の専門知識は、この「利用価値の低下」を正確に読み取り、評価額を減額できるかどうかにあります。
主な減額要因の例
土地の利用価値を著しく低下させている以下の要因を発見し、評価額に反映させます。
形状の不備
不整形地(いびつな形の土地)、間口が狭い、奥行きが長すぎる(奥行長大)など、利用しにくい形をしている場合に評価を減額できます。
物理的な制約
土地の一部ががけ地である場合、道路と高低差が著しい場合、地盤に大きな凹凸がある場合などに減額補正を行います。
環境的制約
高圧線の下にある土地、線路や高速道路に近接し騒音・振動が甚だしい土地、嫌悪施設(例:墓地、ごみ焼却場)に隣接している土地など、利用価値が著しく低下している場合に減正できます。
法規制の制約
都市計画道路の予定地に含まれる、セットバック(道路中心線からの後退)が必要な土地など、建築や利用に制限がある場合に減額できます。
3. なぜ税理士の「現地調査」が必要なのか
これらの減額要因は、役所が発行する図面や公的な資料だけでは把握できません。
例えば、「騒音が甚だしい」「道路との高低差が著しい」といった事実は、実際に現地に足を運び、測量図や法令と照合しなければ確認できないためです。
教科書通りの評価を行う税理士と、現地調査を徹底し、すべての減額要素を漏れなく適用する税理士とでは、最終的な相続税額に数百万円以上の差が生じることは珍しくありません。
岡崎相続サポートセンターは、土地評価を税務申告における最重要課題と位置づけ、徹底した現地調査と専門知識に基づき、お客様の土地の適正な評価額を追求します。