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遺言があっても早いもの勝ち!?


※この記事は、2023年9月に公開したコラムを2026年9月に最新情報へ更新したものです。

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遺言があっても早い者勝ち


アパートを所有する父親に相続が発生し、相続人が長男と次男 の2人という家族のケースを見てきます。


父親はアパートを長男に相続させるという遺言を作っていました。
実は遺言があっても、次男は一人で勝手に法定相続分(長男、次男各2名分)の登記申請ができてしまいます。
長男の了解もいりません。
改正前は、次男が法定相続分の登記をして自分の相続分だけを持分買い取り業者に売ってしまっても、長男は遺言の効果を主張してアパートの所有権を取り戻すことができました。

しかし、民法改正により遺言の効力が弱まり、長男と持分買い取り業者どちらか先に登記した方が優先されるということに変わりました。

持分買い取り業者が買い取った持分について、買い取り業者の名義で登記してしまうと、長男は例え遺言があっても持分買い取り事業者から取り戻すことができません。

つまり早い者勝ちになったのです。


相続人に債務者がいるとき


前述の例は、次男が悪意を持って持分買い取り事業者に売却したケースです。

その一方で、次男が債務者となっている場合も注意が必要です。
次男に財産がなく、債権者が相続財産から回収しようと考えた場合には、債権者代位権という権利を使い、債権者が法定相続分の登記を行うことで、次男の相続持分に対して差し押さえをすることができます。
この場合も、先に登記を登記をされてしまうと、長男が遺言を主張しても取り戻すことが難しくなります。


遺言があれば早く登記をする


この早い者勝ちを制するには、遺言執行者との事前の連携が不可欠です。

遺言で財産をもらう相続人が遺言執行者になっている場合は別として、遺言執行者に専門家や信託銀行を指定している場合には、相続が生じた後の連絡や手続きの流れについて、相続が発生する前にすり合わせおきましょう。

実際に耳にした事例です。


遺言を準備していた父親に相続が発生しました。

遺言の執行に着手しようとして、不動産の登記簿謄本を取得したところ、既にある相続人の法定相続分の登記がなされ、持分買い取り業者の名義が入っていたことがあるそうです。

法定相続分の登記をするにはほかの相続人の同意が必要なく、通知されることもないのです。


不安な場合は家族信託で対策


遺言だと不安が残る場合には、家族信託を活用することで対策ができます。

家族信託のメリットは、先に登記を行えることです。

前述の父親、長男、次男の家族の事例で、生前に父親と長男とので家族信託契約の締結をしておきます。
締結と同時に、不動産登記の名義を、父親から受託者である長男に変更します。
これにより登記の申請権限者が父親から長男に変わり、長男の関与なしでは変更登記することができなくなります。

相続が生じた後に、たとえ次男やその債権者が法定相続分の登記をしようとしても、登記申請は受理されません。
長男は安心してアパートの財産権を自分名義にする手続きを進めていくことができます。

【最新の対抗要件】相続登記の義務化と「遺言執行者」の早期指定

2019年の民法改正により、「特定の相続人に不動産を相続させる」旨の遺言であっても、法定相続分を超える部分については登記をしなければ第三者に対抗(主張)できなくなりました。
さらに2024年(令和6年)4月からは「相続登記の申請が義務化(取得を知った日から3年以内)」され、未登記放置のリスクはさらに高まっています。

遺言によるトラブルや第三者・債権者による先着登記を防ぐためには、相続発生後速やかに登記申請を行えるよう、遺言書内で信頼できる専門家を「遺言執行者」に指名しておくことが極めて効果的です。

不動産を含む相続対策を行う際は、遺言と家族信託のどちらが最適かも含めて専門家へご相談ください。


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